2016年6月11日(土)より新宿K’s cinema他にて公開

Commentary

カオリ、ユウ、カオリの母親、そしてユウの母親。。。女たちはどうしてこれほど傷つき生きなくてはならないのだろうか。みな特別でもなければ極端な例ではない。被害者も加害者もごく普通に身近にいる市井の人々として描かれている。同じように深く心を傷つけらえて今を生きている人は、どうか自分のこととして見て欲しい。みずから「語り直し」という体験がいかに心の治癒に繋がるか。心の奥底に仮に封印するのではなく、自ら対峙して「語り直す」こと。監督の勇気がひとりでも自己治癒の手助けにならんことを...

ヴィヴィアン佐藤

美術家・ドラァグクィーン

湖面に映った海月に見惚れてはならない。切断され掻き消された真実が、そこに沈んでいるからだ。見ようとする目を眩ませる心の罠が張り巡らされている。月光がそれだ。月光を疑う叡智を持たなくては何も始まらない。

ドキュメンタリーでもない、フィクションでもない、現実の物語が描かれている。これは何だ? 性暴力の物語ではない。むしろ主題は母と子の絆に対する重大な問題提起だ。性暴力の陰には、母親の毒が潜んでいるのだ。

私を魅了するのは、言葉の存在しないコミュニケーションの描写。そして、空気、音、光、触覚……、隙を突き出番をうかがうトラウマの猛威。心に傷を背負う者同士だからこそ生じる「共感覚」の不思議さに唾を飲んだ。

虐待とは、繋がるべき心と心の切断である。途切れた関係の中でさえ必死に生きようとする人に、それは容赦なく襲い心身を粉砕しようとする。だが諦めなくてよかった。蜘蛛の糸が繋がりを求めるシーンに目が熱くなる。

本作品を観て心激しく騒めく人もいるでしょう。それは紛れもなく、あなた自身が助けを求めている証。胸に刺さるからといって背けることを推奨しない。あなたの真実を知り、秘密は安全に分かち持たれるべきなのです。

長谷川博一

こころぎふ臨床心理センター代表理事/臨床心理士

社会の中で「なかったこと」にされている性虐待の問題に切り込んだ、惹きつけられる映画!  被害と加害、フラッシュバックの様子が非常にリアルに描かれていますが、それでも目を離すことができない111分。多くの方にぜひ見てほしい!

東小雪

LGBTアクティビスト

冷たく美しい月光。同じ女性として、みていて心が何度も崩壊した。
誰も気づかないモールス信号を彼女たちはずっと発していた。
そして、今も誰かが叫んでいる、その声をちゃんと救いたい。

サヘル・ローズ

女優・モデル

自分のなかの何かが反応して、見続けるのが辛かった。
それにもかかわらず、作品を見終わった時、苦しみをスッと抜け出している自分自身がいた。息苦しいほどリアルな小澤監督。
でも、だからこそたくさんの希望。

杉山春

ルポライター

今回、脚本を読ませていただいて、この楽曲を書き下ろしました。
思わず目をそむけたくなるようなリアリティをもって実際に起きている問題と対峙しているこの映画は、とても勇敢で、世の中に必要なものだと感じました。
誰もがきっと、どうしようもない不安定や闇を持っているけれど、手をさしのべる光のようなものがあるはず、それをこのピアノの音、この楽曲で表現できれば、映画の手助けになればと思い、書きました。

中野ミホ

Drop's

クランクインの前に脚本を読ませて頂き、小澤監督とお会いしてDrop'sが歌う主題歌をどういう楽曲にしようかを話し合いました。日本映画は安易なタイアップで映画の内容に準じていない主題歌が多く、違和感を感じていたのでそのような話が出来た事が先ずは素晴らしかったです。
タイトルそのまま月光という楽曲を制作し、監督、プロデューサーに気に入って頂き、その後映画音楽の依頼を受けました。充実した時間を過ごさせて頂きました。
この映画大好きです。貢献できて光栄です。

上田健司

ベーシスト 音楽プロデューサー